「線とセンと布人形」 ハヤシマドカ・鈴木啓文二人展 トーク

「線とセンと布人形」 ハヤシマドカ・鈴木啓文二人展 →
2017年12月13日(水)-24日(日)

クロージングイベント 12/24 15時~(1時間程度)
話す人:ハヤシマドカ、鈴木啓文、原田(ギャラリー担当)
傍聴者:5名程度
最終日、作家のお二人に展示についてうかがいました。
下記記録のテキストです。ご覧くださいませ。

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▶始まり
本日は「線とセンと布人形」 ハヤシマドカ・鈴木啓文二人展 一番最後の日です。
クロージングイベントということで、作家のお二人に作品を見ながらお話を聞いてみたいと思います。

▶それぞれの作品工程について
原田>まずお二人がどうやって作品を作っていらっしゃるか伺います。
ではハヤシさんから。
ハヤシ>紙に最初に起こします。
それを布に起こし、ひっくり返して、色を付けます。今回作った人形の型紙はこれです。(実際に使用されている型紙を持ってきて紹介して頂きました。)
原田>まず紙に起こすんですね。
ハヤシ>一番最初は雰囲気だけで、メモみたいな感じで作るんですけど、
やっぱり縫った後にひっくり返らないといけないので、あまり雰囲気だけでも難しい、型紙がちゃんとしてないと作れないです。
鈴木>出来上がりを想像して作るんですね。
原田>版画みたいに左右反対しますよね。
ハヤシ>しますね。
原田>へー結構大変。
ハヤシ>でも私そこがいい加減だから、ひっくり返ったままやってるかもしれないです
仕上がりが頭で思ってたのと違う時があって。
原田>そうなんですか。
ハヤシ>本当はこれももう少し左右対称になってるはずだったんですが、縫ってるうちに胴ががスマートになってしまって、、。
出来た形によって考えることもしています。ずれたけど平気、みたいな。
原田>だから結構オリジナルなユニークな形になっているんですね。

原田>鈴木さんはいかがですか。
鈴木>まあまあ普通に見に行って描いている、それ以上でも以下でもないんですよ。
原田>描くイメージについては何かありますか?
鈴木>書きたいポイントを目指していきます。
ハヤシさんが、人形をお作りになっていると伺いました。植物の中でお人形が遊んでいる展示のイメージが出て、今回は、花にしましょうって打ち合わせで決まったんです。
そうすると日常、チャリを走らせていて、花が目に留まっていくじゃないですか。
また素描展でここをかけることになったので、ここ(学園)にある花を描きましょうとなりました。
原田>テーマに合わせて描いている感じですか。
鈴木>たとえばカチンときたときに描きに行くとかも、ありますね。
原田>結構ジャーナリストみたいですね、写真撮ってるじゃないけど現地に行って記録して、、。
町の移り変わりとかも敏感になるのではないですか?
鈴木>敏感っていうか、描いたところは敏感になるっていうか。
僕割と建物書くことが多いんですけど、
普段ガッシャーンと解体してても何建ってったっけーてなるけど、一回描いたことがある場所だとわかってきます。
原田>そんな場所がいっぱいあるってすごいですね。
鈴木>同じ雑居ビルでもあそこの何階の店が変わったとかわかる。
原田>密集してる感じが気に入りましたという声もありました。
鈴木>僕あの、間のある絵が苦手なんです。
僕はあまり恰好つけたくないんで、密集してるものは密集して描きたいんですが、
全部がーっと描くと柄になっちゃうから、その辺のバランスは気にして描いてます。
鈴木>僕、植物は基本的に苦手なんです。四方八方に枝分かれしてるじゃないですか。
ハヤシ、一同>え。
お客さん>そこに果敢に挑んでいったんですねー。
鈴木>でもしょうがないんで、今回は、、。


▶今回の展示のことについて
原田>何で展示することになりましたか?
ハヤシ>もともと「繕いの便り展(参照→)」で、誰かと展示してみませんか?と原田さんが声かけてくださって。
スズキさんが、「繕いの便り展」で葉書を出していて、それがいいなと思って声を掛けました。
原田>そしてスズキさんに連絡を取ることになりました。
ハヤシ>私はそんなに親しくもないのになぜ二人展を承諾してくださったのか、気になっています。
スズキ>以前ひなたさんでの展示を見てくださっていたようですが、僕は誰か覚えてなかったので、、。
とりあえずはひなたさんに聞きに行ったり、周辺に結構リサーチしました。
原田>そうか、そうですもんね。それが決め手になりましたか?
鈴木>いや、、それが決め手ではないんですが、、ようするに自分の方でちょっと変わったことがしたかったんです。
ここはレンタルなんですが、普段お金出して展示することをしてないし、ファイル持って展示させてくださいとかもしたことが無くて、ちょっとそればかりでもどうかな、と思って。挑戦してみようかというタイミングでした。
また自分から誰か声をかけるということもできたけれど、声かけてもらう機会もないのでいいタイミングで、展示にいたりました。

ハヤシ>繕いのはがき、印刷じゃなくて直に書いていらっしゃったんですけど、星ヶ丘の校門を描いててすごくいい感じだったので、一緒にやってみたいなと思って。はい。
またペンのタッチが良かったので、鉛筆じゃなくてペンで書くことをオーダーしました。
鈴木>普段は鉛筆で描いています、といったのですがペンが良いですと、依頼がありました。
最近紙にペンで書いたものを発表してなかったので、それもあって面白いなと思いました。

▶搬入日について(ハヤシさんが退席しています)
原田>搬入日について。
それまで打ち合わせをしています、一緒にスケッチに言っていますと伺っていたんですが、
搬入についてはどういう風に進めていきましたか?

鈴木>ハヤシさんからは事前に小部屋を作る、お人形が小作品なので周りを詰めたいとのこと伺っていました。鈴木さんは壁面お願いしますということでしたが、まあそういわないで、という感じでした。
原田>私は袖で見ていたんですが、それぞれ自分のそのやりたい、頑固な部分があるけれど、なんか、搬入時に譲歩しあう、というなんか微妙なバランスが面白いところでした。
で、お互いへの伝え方もままなっていないというか。

鈴木>原田さんが、割とここの搬入ってレンタルだし、持ってきた時点で完成していると言ってたのです。
で、鈴木さんが途中で見せに来たりとかが初めてですと。
展示のテキスト作る時とかも言ってたのですが、途中経過で出てきていいんですか?みたいな
僕は結構途中経過を見せるんです。
割と場所の人に、お伺いじゃないですけど、しています。いうこと聞くかっていうと聞かないんですが、、聞くことは聞く。僕はいつもの調子なんですが。
原田>最初から、割とがっつり聞いてくるなと私も面白かったです。

鈴木>展示については、私は展示の部屋がどんな部屋かというのを見せたいというのがあります。
だから、例えばここに窓ガラスがあります、とかそういうのを紹介したかったという感じです。
(ハヤシさんが戻ってきました)

▶展示してみて
原田>最終日ですね、展示してみてどうでしたか?
ハヤシ>いや、結構、、長いマラソンをしているようでした。
原田>そうですか。
鈴木>ハヤシさんの方が合わしてもらってるから。
(今回鈴木さんの絵をハヤシさんが刺繍して、人形を置くタペストリー作品がありました)
ハヤシ>布でやるなら刺繍が一番映えるし、鈴木さんのタッチを残して、刺繍するっていうことにしました。
鈴木>逆にねハヤシさんの人形を描いてもね、僕にない線なんですよ。
線が難しいというか、だから描けてないです。
ハヤシ>なんか違う感じに見える。書いてもらっているけれど。

原田>お二人とも作家歴が結構あるので、慣れた方向にも行ってしまいがちですが、でもそれが、書道じゃないですが、書きなさいってなったら一瞬また別に発見があるのかも?

ハヤシ>というか、刺繍をここまで沢山やったのは初めてだったので。
いつもは人形に糸を刺してるくらいなので、、勉強になりました。
刺繍の勉強というよりは、鈴木さんのタッチを翻訳しているような感じで。

鈴木>自分で平面的に描いたスケッチ等を刺繍することはあんまりないんですか。
ハヤシ>考えたこともないです、だったら普通に絵をかくし、、という感じで。
やっぱり(鈴木さんの)線が、恰好いいとリスペクトしているから。
だからやっていてすごい勉強になりました。集中して描いてるんだということも伝わってくるし。
鈴木>この辺で飽きが入ってくるなとか。
ハヤシ>いや、それはないです。一応一番格好いいところを選んで作っているので。

原田>鈴木さんはどうでしたか。
鈴木>スケジュール的にはいつも通り、、
ただ、花はほんまに難しかった。すぐ散るなーと。
建物のケースだったらまだゆっくりですよね、まあそれでもつぶれてたりするけどね。
花は、一瞬ですね。形になってよかったです、へとへとですよ。
原田>ハヤシさんがここでスケッチしてると「明日描こうと思ったらなかった」と言ってました。
ハヤシ>小さい花ですし
原田>ここは散るもあるけど、整備している人がまた別にいて関係なくばーと刈ったりするので
違う人の思惑が入ります。その方はその方で、きれいに整えてくださっているのですが。
鈴木>街路樹とかもそうですよ、ごっそり植え替えてたりするもんね。
原田>怖いですね。
鈴木>うそー咲いてたやん、この間までーとなります。
原田>いやー人の考えは全然わからないものですね。
今回はとてもそれが思いました。

▶握手出来ましたか
ハヤシ>大体、ほぼ。
原田>展示のテキスト、ちょうど手を出した時で終わってるんですけど。
(展示のテキスト →
鈴木>あれはいろんな意味を含めて、ですよね。
ハヤシさん、原田さんに対してもでもそうだし、菊の花とか、モチーフに対しても、そう。
原田>なるほど。差し伸べるって大事ですね。
鈴木>素描展を提案するときに、いろんな人が書くけれどそれぞれアプローチが違うとかいう話をしていて、そのことを世界と握手をするようなものだとハヤシさんと原田さんが言ってましたね。

原田>ギャラリーにいても面白い人が沢山集うけれど、やっぱり全然考えてることはわからない。
でもそのめげずに手を刺し伸ばすのはすごく大事なんだなと思いました。
この展示でも。
ありがとうございました。
ハヤシ>困らせたかもしれないけれど。
原田>あーそんなこともありましたね笑 込々です。


終了です。
ご拝読ありがとうございました!




2018年03月06日